
世界30ケ国以上に展開しサッカーの指導方法を行っているクーバー・コーチングとは、日本をはじめアジア・ヨーロッパ・アフリカなどで展開されています。
現役のサッカー選手も少年時代には、通っていたというクーバー・コーチングの練習法や練習における概念とは何か?
個人技のスキルを高めるボールマスタリーを中心としたトレーニングとは、サッカーのプレーでどんな技術に活かすことができるのでしょうか?
そこで今回は、クーバー・コーチングの歴史からトレーニング概念などについてご紹介していきます。
目次
クーバー・コーチングとは
1970年代後半、オランダ人指導者であるウィール・クーバーが開発したサッカー指導法です。
クーバーは、当時のプロのプレースタイルから見えてくる、テクニックに欠けたプレーが目立つそんな現状に不満を抱えていました。
そこで彼は、プロの試合では観客を魅了するためにテクニックを活かしたサッカーを確立しなければならないと考え、そのためには個人の技術を高める指導が必要であると考えるようになりました。
クーバーの指導内容は、ボールマスタリーや1対1におけるテクニックの指導がメインでした。
1984年に、クーバーの考えに刺激を受けてアルフレッド・ガルスティアンとチャーリー・クックの2人が設立したのが、現在世界30ヶ国以上で知られている「クーバー・コーチング」です。
クーバー・コーチングは1984年から現在に至るまで、世界中で約100万人以上の選手と約1000人以上のコーチがクーバーのサッカープログラムにかかわってきました。
現在、クーバー・コーチングは16歳以下の若い世代中心の選手や指導者に適したサッカー指導法として広く認められています。
現在、日本代表のエースとして活躍している。あの堂安律選手も少年時代には8年間通っていたそうです。
クーバー・コーチングのボールマスタリーとはどんな技術に活かせるのか?
クーバー・コーチングの指導法でかかせないのが「ボールマスタリー」です。クーバー・コーチングのボールマスタリーではどんな技術が身につくのでしょうか。
ボールマスタリーとは、足でボールを蹴る際に足のいろんな部位でボールをコントロールする技術やボールを思い通りに扱う技術を身につけるためのトレーニングです。
このトレーニングを、何度も繰り返し継続して行うことで、ボールをタッチするときの感覚(ボールフィーリング)を身につけることができます。
ボールフィーリングとは、「ボールをタッチする時の強弱加減でボールがどこまで移動するか?」や「ドリブルなどで進行方向を変えたい時は足のどの部分を使うと右や左へ行くことができるのか?」という感覚のことです。
サッカーの上手な子やプロサッカー選手は、この感覚が身についているため、ボールを狙った場所へ蹴ることができる正確なキックや最初のボールコントロール(ファーストタッチ)を正確に行うことができるのです。
ボールマスタリーでは、足の裏やアウトサイドなど足の様々な部分を使い、単純な動きからの簡単なトレーニングや複雑な動きを取り入れながら行う難易度が高いトレーニングメニューなど、レベルにあったいろんな種類のトレーニングメニューがあります。
では、この「ボールマスタリー」がサッカーとどう関係してくるのかといえば、それは育成年代において重要とされている。
サッカーの基本技術「止める・蹴る・運ぶ・観る」を身につけるための基礎作りにつながってきます。
ボールマスタリーとサッカーの基本技術との関わり
サッカーにおける基本技術とは
- 止める
- 蹴る
- 運ぶ
- 観る
止める
サッカーにおいて「止める」という技術は、次に行うプレーをスムーズに行うことにつながってきます。
正確なファーストタッチによって、シュート・パス・ドリブルなどを正確・スムーズに行うことができます。
正確なボールコントロールができるとプレーに余裕がうまれるので焦ってボールを蹴るといったミスを減らすことにもつながってきます。
ボールマスタリーでは両足を使った練習を反復して行うことにより「止める」感覚を身につけることができます。
苦手な足でも正確にボールを扱えるようになればプレーの幅が広がりますし、両足を使えることは上手いサッカー選手のひとつの条件ともいえるでしょう。
蹴る
ボールマスタリーのトレーニングメニューには、インサイド・アウトサイドなど、キックする場所によってボールが足にあたる場所や面、ボールを蹴るときの足首の角度やタッチの際の強弱など正確に「蹴る」感覚を身につけるためのトレーニングメニューが豊富に用意されています。
ボールマスタリーを行うことで、狙った場所へボールを蹴るために欠かすことのできない技術を身につけることができるでしょう。
運ぶ
サッカーの試合では、パスだけで崩すのが難しい場面がでてくることもあります。
そんなときは個人の技術を使ったドリブル突破が必要になることもあります。
ボールマスタリーには、ボールの押し出しや引き戻しなど様々な動作やボールタッチの強弱など「運ぶ」ための感覚を身につけることができます。
上達してくれば「メッシ選手」のような、足にボールがピタッと吸いつくドリブルも可能になってくるでしょう。
観る
サッカーの試合では、周りの状況を確認してその時の状況によりプレーを判断していかなければいけません。そのためにはボールタッチの技術が必要です。
ボールタッチがうまくできなければ、ボールばかりに気をとられてしまい、周りの状況を確認することができずミスにもつながってきます。
正確なボールコントロールができればプレーに余裕がうまれ、周りの状況を確認することでき、次のプレーの判断をスムーズに行うことができます。
ボールマスタリーを行う際のポイント
ボールマスタリーは、体の動きを覚える神経系を鍛えるトレーニングです。体が疲れていないフレッシュな状態や心拍数を上げる効果もあるのでウオーミングアップに適しています。
実施する時間は、1日10分から15分程度で行い過度なトレーニングは避けましょう。
最初から子どもがボールマスタリーの技をうまくできるとは限りません。
そのときは、以下にチャレンジポイントを紹介しますので段階を踏んでトレーニングしていきましょう。
- いきなりスピードあげて早く行うのではなく、ゆっくりと正しい動作で行う。
- 得意な足からはじめて、苦手な足も挑戦して両足で行う。
- 止まった状態から動きながらできるように意識して行う。
- 「ワン・ツー」や「1、2」と自分のテンポで行う。
- 制限時間を決めて時間内に何回できるか挑戦してみる。
- 友達と競争(制限時間内に何回できるか?)してみる。
ボールマスタリートレーニングメニュー
ボールマスタリーのトレーニングメニューをいくつか紹介していきます。
ソールタップ
左右の足の裏で順番にボールをタッチします。リズムよくボールに触れる感覚を身につけましょう。
トータップ&ストップ
両足のインサイドでリズミカルにボールタッチするトータップ。足の裏でボールを止める動きとの組み合わせです。
インサイドと足の裏でボールタッチする感覚が身につきます。
テイクストップ
アウトサイドを使って外側にボールを動かし、同じ足の裏で止めるトレーニング。アウトサイドでボールタッチする感覚が身につきます。
まとめ
先ほど紹介させていただいたトレーニングメニューはほんの一部で、もっとたくさんのトレーニングメニューが用意されています。
本屋さんに行くと「クーバー・コーチングトレーニングメニュー集」がありますので是非そちらを参考にしていただければと思います。
ボールマスタリーのトレーニングメニューで、興味をもったものや身につけたい内容のものを自分で見つけ出し、自主練習用のトレーニングメニューとして行うこともできるでしょう。