サッカーでは、ドリブル・フェイント・ダッシュといった素早い動きが求められるスポーツです。
アジリティトレーニングとは、サッカーにおける基礎的な能力を高めるためのトレーニングメニューになります。
そこで今回は、アジリティトレーニングについての説明と育成年代における重要性やアジリティトレーニングメニューについて紹介していきます。
目次
アジリティとは
アジリティとは、敏捷性という意味があります。敏捷性とは、単純な移動速度の速さだけではなく急な方向転換を早く正確に行えることです。
アジリティでは、素早さと正確性を鍛えることができます。アジリティトレーニングメニューのひとつに反復横跳びがあります。
スポーツテストで測定される反復横跳びには、サイドステップで線の上をしっかりと越えなければカウントされないというルールが存在します。その為、ルールを守りながら早く正確に行う必要があります。
サッカーで求められるスピード・方向転換を意識して、アジリティトレーニングを続けることでサッカーに必要なスピードを鍛えることができます。
スピードの3大要素「SAQ」とは
SAQとは、1980年代後半にアメリカで開発されたトレーニングにおける考え方です。
SAQではスポーツにおける速さの種類を3つに分けて考えます。
スピード
SAQの中でのスピードとは、単純に足の速さだけはなく重心の移動の速さもこれに当たります。
アジリティ
素早さ(敏捷性)と方向転換をする際に生じる減速や加速をバランス良く行う正確さが求められます。
クイックネス
日本語で「俊敏性」という意味です。アジリティと違いただ素早さ速さだけが求められる。正確性を必要としない能力です。
このように、3種類に分けられて考えられますが重なりあう部分もあります。その中でもとくにアジリティとクイックネスは「速さ」としての種類が近いために重なり合う部分が多々あります。
そのため、アジリティトレーニングではクイックネスとアジリティ両方を同時に鍛えることができます。
サッカー育成年代に鍛えておきたいアジリティの重要性
サッカーにおける素早さ(敏捷性)や正確性を鍛えることができるアジリティですが、このアジリティは神経系の発達が向上しているサッカー育成年代で鍛えておく必要があります。
サッカーにおける育成年代とは小学生低学年~高学年にかけて「ゴールデンエイジ」と呼ばれる成長世代があります。
この時期は、特に神経系の発達が著しく向上し全体の約90%が完成される年代になります。
そのため、ゴールデンエイジ世代で神経系の発達を促すアジリティを向上させることで今後のサッカーにおける成長を助けてくれます。
アジリティトレーニングを行う前に確認しておくべき事項
アジリティトレーニングを行う前に、まずは今の自分にできないことは何か?できていることは何かを再確認する必要があります。トレーニングのメニューは様々あるので、今の自分にあったトレーニングを行う必要があります。
確認事項について4項目ほどご紹介していきます。
1.加速はできているか?
最初の出だし3歩目あたりから加速ができているかが重要です。素早く足を動かすことができる俊敏性を鍛えることにより爆発的な加速が可能です。
2.減速はできているか?
状況にあった減速ができているか。例えば相手が追ってきている状態で急な減速で相手を交わすことができているかなど。状況に応じて緩急をつけるために減速することは重要な要素になってきます。
3.進みたい方向へ素早く方向転換できているか?
減速してからの方向転換は、とくに重心の移動が重要です。素早く重心を転換したい方向へ移動することができるかが重要になります。
スムーズに方向転換できてない場合は、重心の移動を鍛える必要性があります。
4.重心の位置は適切か?
重心の位置が、低すぎたり高すぎたりするとスムーズな動きができません。自分に適した重心の位置を覚える必要があります。
適切な重心をとることができれば、サッカーにおいてスムーズなプレーを行うことができます。
サッカーアジリティトレーニングメニュー
プロアジリティ
中央を中心にして、左右5m間隔でラインセットしてコートを作成します。
中央からスタートし、サイドラインへ向かってダッシュしてラインをタッチし、素早く反対側のサイドラインへ向かってダッシュしてラインをタッチし、中央へ向かってダッシュをします。
主に素早いフットワークと方向転換を鍛えるトレーニングメニューです。クイックネスとアジリティを同時に鍛えることができます。
素早いステップからのダッシュではクイックネスが鍛えられ、素早く正確にラインをタッチすることでアジリティが鍛えられます。
Tドリル
T字になるように置かれたコーンを、【まっすぐ前へ(10m)ダッシュ→左へ(5m)サイドステップ→右へ(10m)サイドステップ→中央(5m)に向かってサイドステップ→最後はバック走行で10m走ります】
このトレーニングでは、加速・減速・方向転換を鍛えることができます。同時に今の自分に欠けている部分を、確認しながら行えるため有効なトレーニングメニューです。
どの部分ができていないのかを、確認しながら行うことで意識してトレーニングに取り組むことができます。
ラダートレーニング
はしご状のラダーを、いろんなステップを踏んで行うトレーニング方法です。主に足の動かし方が速くなります。
こちらも、アジリティとクイックネスの両方の向上に効果的なトレーニングメニューです。
サーキットトレーニング
ラダーとマーカーを使ったアジリティを鍛えるサーキットトレーニングです。
ラダーのマスを様々なステップで走り抜け、横に配置したマーカーまでサイドステップで移動しそのままダッシュで前方へ向かって加速します。
ラダー→サイドステップ→バックステップ→加速という順番で繰り返す事が基本的な動きです。
アジリティトレーニングの基本的なトレーニングメニューです。
8の字走
コーンを2つ(5~10m)の間隔で配置します。その周りを8の字を書くように走ります。
コーンの間隔を変えたり、スタートの姿勢を変えるなど変化をつけることで様々なバージョンでトレーニングができます。
主に素早い方向転換とフットワークを鍛えることができるトレーニングメニューです。
シャトルラン
小学生のスポーツテストにも採用されているシャトルラン、コーンを正確に触れることが求められる為アジリティ部分を鍛えることができます。
フットワークや俊敏性・持久力が求められ、加速・減速に無駄な動きができないように意識して取り組むことが大切です。
反復横跳び
シャトルランと同様に、小学生のスポーツテストに採用されているトレーニングメニューです。
素早いサイドステップを行い、正確にラインを越えないとカウントされないというルールがあるため正確性が求められるアジリティ部分を鍛えることに有効なトレーニングメニューです。
まとめ
アジリティを鍛えることは、サッカー技術を高める上でとても重要な要素が含まれています。
特に育成年代(ゴールデンエイジ)では、神経系の発達が著しく向上する時期であり、アジリティトレーニングをすることで有効な効果を得ることができます。
アジリティを鍛えることで、攻守に渡り良いパフォーマンスを発揮できるようになります。
サッカー技術を高めるためには、アジリティやSAQを高めて今の自分に出来ない部分を確認し意識してトレーニングに取り組み自己を高めていきましょう。